【テストライド】Toyo Frame HYBRID-ROAD

価格 (税抜き)

370000

メーカー・サイズなどメーカー・サイズなどの内容

自身が趣味とする世界のものについては、殆どの場合こだわりがあり、その材料や製法、メリット・デメリット、メーカー自体の出自や製作者の理念など、気になる点は多岐に及ぶものだ。

「アベノバ」の代表としての目線は、本当に自転車として乗りやすい製品に仕上がっているのか?という点に向けられる。「アベノバ」はサイクリストの集まる「場」として使ってもらいたいという願いから作られている場所なので、自分たちが取り扱う製品がサイクリストに受け入れられやすいものか?ということは、非常に重要だ。本当に乗りやすいもの、その人各々に合ったものを使ってもらいたいのが願いだ。

私が今回取り上げるのはToyo Frame(東洋フレーム)のHYBRID-ROADというピュアロードモデル。約半年間、1500km程度の走行距離なので大したコメントはできないが、事前の想像と実際の感覚との間に、一致する部分とそうでない部分が色々とあったことが面白かった。

HYBRID-ROADはスチールとカーボンを接着という方法で接合し、材料を適材適所に配置することで乗り手の意思を伝達しやすいフレームを作り上げたモデルとのことだ。剛性周りの影響と機能性としては、ダウンチューブとトップチューブをカーボンとし、乗り手から縦方向に入力されたエネルギーを効率よく受け止めている。横方向の剛性確保と乗り心地の向上、そして不意の路面からの突き上げへの対応には、金属製のバック部がもつ弾性を利用してクッション性やバネ性を持たせているといったところか。なるほどそれぞれの素材の特性を考えた上で、理にかなった配置と言えるだろう。実際に乗って感じた印象も、スチールらしさともカーボンらしさとも違う、まさに『ハイブリッド』と言った感触だった。言わば良いとこ取りのフレームと言っていいだろう。

ただ一点、自転車における大命題である重量という点を除いては。

では自転車で重量が問題となるのはどんな場合なのだろう?

全体重量が抗力となり続けるヒルクライムは、ライダー自身も含む全体重量を落とさねばならない。しかし一方で同じ抗力となるフレーム精度を犠牲にしても良いのか?ライダーの入力をスポイルする硬さにしてしまっての良いのか?ということが問題である。ライダー自身の乗車技術が高みへ達していれば最後の一手として軽量化に望むことも良いかもしれないが、それによって犠牲にする物は多くなる。

阿部のHYBRID-ROADの感想をシンプルに表現すれば、「乗り手の出力をきっちり受け止め、進行方向の慣性を極力落とさずに走れるフレーム」だ。それは重さとして感じるデメリットを補って余りあると感じた。HYBRID-ROADは…いやToyo Frameは、重量という要素をライダーの選択肢として最後に回した究極のフレームとも言える。

自転車をスポーツとして考える時、機材である自転車の走行性能は、乗り手の意思を的確に表現できるかということが重要だ。例えば機材スポーツの代表的な自動車の場合はエンジンが動力性能という部分の大半を占める。サイクルスポーツはライダーの身体能力が動力の大部分を占めていて、その中でも心肺能力と筋力という乗り手のエンジンとしての駆動力を地面に伝えることが乗り手の意思通り可能か?乗り手の意思をトレースできる旋回能力を持っているか?といった点が重要な要素だ。

ハイエンドの自転車を扱うハイアマチュアには走行技術が高いレベルで備わり、走行のための出力も強大な方が多い。それこそ少々機材にスポイルされてもカバーできることがほとんどだ。手前味噌ではあるが、筆者自身も多くの人よりはロードバイクにうまく乗れる自信がある。それでも、より乗り手のストレスを取り除くにはどうすれば良いか?というこのフレームの思いを十分に感じることができ、心地よいライドをもたらしてくれた。

ちなみにToyo Frameのジオメトリーの傾向として、シートアングルは寝ている場合が多く、今回使用しているフレームもロードにもかかわらず74度と安定の傾斜具合だ。ジオメトリーの中でも、シートアングルとヘッドアングルという2つの角度は非常に重要で、それはフレームメーカーのユーザーに対する「気持ち」あるいは「意図」とも言える。阿部が感じた他社とは違う印象の要因は、素材はもちろんのこと、こういった設計そのものにもある。

基本的な製品のサイズ展開はXSからXLまでシート長20ミリ単位で5サイズ用意されている。ジャストサイズを求めるならミリ単位でのオーダーという手段も用意されている。オーダーを利用すればステム長やシートポストのフレームから出る量も調整でき、正に機能も見た目も兼ね備えた自分にとっての理想的な一台になるのだ。

標準の最小サイズとなるXSでヘッドチューブの長さが90ミリ、トップチューブ長は505ミリということなので、適正身長は150センチ程からだろう。サポートの実績から小柄な女性向けのジオメトリーにも強いという珍しいメーカーでもあるため、単に小さいだけのフレームとも異なるようだ。

元々Toyo FrameはBMXやMTBを始めとしたオフロード系を得意としていたため、ノウハウの蓄積が一般的なフレームメーカー(特に国内ビルダー)とは大きく異なっている。MTBにおける世界選手権やオリンピックでの活躍や、国内シクロクロスの歴々のチャンピオン達による実績は、ロードに活かされることでプロ選手にフレームを製作した実績もある。

ミリ単位で自分の狙ったジオメトリーを作れるハイエンドのオーダーフレームは勿論、既成品にも多くのノウハウが込められている。気持ち良く走るための自転車として、選択肢に加えてみることをお薦めする。

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